奪われる20

ゆうくん
2005年01月11日
3,475
「さて、そろそろこれも脱いでいただきますかね」
安西は急速に赤みを増しつつある美奈子の容貌を眺めつつ、いったんブラジャーのカップから手を離す。
「さあ、ホックを外しますよ、奥さん」
目を異様にぎらぎらさせた安西が、美奈子の華奢な身体の両側に腕を回した。
さすがに虚脱状態に陥っている美奈子も、安西の無骨な手が左右から自分の背中に回され、ブラの合わせ目をつかんだときは、我に返ったように身体をピクッと震わせた。
ブラジャーを奪われたら‥‥乳房の全貌をこの男の前で曝すことになってしまう。しかも今の乳房は平生の状態ではないのだ。安西の加えた指の悪戯によって、その可憐な先端は痛々しいほど膨張し凝固している。
屹立した乳首を見られるのは恥辱の極地であろう。
が、すぐに諦念がその美貌の上を覆った。軽く吐息をつくと再び首を垂れてしまう。
美奈子の抵抗が全く見られないのを確認した安西は、唇の端でかすかに笑うと、ブラジャーのホックを外した。
ピッチリと胸板に食い込んだブラが一瞬で緩んだ。柔肉の隆起とブラジャーのカップとの間に隙間ができ、白い肌に影を落とす。が、まだストラップが両肩にかかっているため、乳房の全貌は露出していない。
安西は舌なめずりすると、美奈子の左肩のストラップをスルっと剥き下ろした。途端に左のカップが下へずり落ち、プルンと片方の乳房が揺れながら姿を現した。
次の瞬間、二人の視線が同時に柔肉の隆起の先端へ集中した。
安西のキツネ面が相好を崩し、美奈子の美貌が羞恥に染まった。
乳房の頂点の突起は、明らかに固く尖っていた。充血したので、ピンク色の色彩もいっそう濃く匂っている。
「ほほう、‥‥これは、これは」
ニタニタしながら感心したように安西がつぶやいた。
「‥‥‥‥」
美奈子はきつく目を閉じた。そうせずにはいられなかった。自ら視覚を利かなくすることで激烈な羞恥に耐えようとした。
が、果たしてその行為が効果的だったかどうか。視界が遮られても安西の視線がどこに集中しているか気配でわかるのだ。露出した乳房の先端が熱い。
「ふーむ、これが奥さんのおっぱいですか。‥‥いや、実に美しい」
安西はそうつぶやきながら、もう片方の乳房も露出させ、両腕からストラップを抜き取り、美奈子の上半身を完全な裸体にしてしまう。
あとはショーツ一枚を残すのみであった。
「‥‥ああ」
両目を閉じたまま、美奈子が天井を仰ぎ、嘆息する。
安西は、美奈子の瞼が降りたままのをいいことに、顔を近づけてじっくり観察した。
美奈子の乳房は初見ではない。以前雑木林の中から全裸写真を盗撮した折りに、両の乳房も目撃したし、フィルムにも収めた。以来、網膜に焼き付くほど繰り返し写真を眺めては醜い欲望の対象にしてきた。
が、今、目と鼻の先にある乳房はそれとは明らかに趣が異なっている。何よりも色彩が鮮烈である。ピンク色に匂い立つ乳頭。静脈が透けるほどの白い肌。
写真の中のくすんだ色とは大違いだ。
そして乳首の形。美奈子の性感が芽吹き始めたことを物語るように、ピンと固く尖っている。

安西の手は、堪えきれずに片方の乳首を摘んでしまう。凝固した突起の感触がたまらない。
「きゃあ!な、何をするんですか!」
途端に美奈子の悲鳴が上がる。身体を捻って安西の手から逃れた。
美奈子は狼狽した。ブラの上から嬲られたときとは比較にならぬ感覚の電流が、一瞬で脊髄まで駆け抜けたのだ。
両手で胸を隠し、安西から身体を背けた。
「‥‥これは失礼。どの方向から見たら奥さんのおっぱいが美しく見えるか、ちょっと確認したくなりましてね。すみませんがもう一度胸をこっちへ向けてもらえますか?」
安西は再び美奈子の身体へ手を伸ばす。
「だ、駄目です!や、約束では撮影の真似事をするだけのはずです!さ、触らないでください」
安西はニヤリと笑みを浮かべる。
「身体を触らないなんて約束していませんよ。カメラマンが最良のポーズをとらせるために、モデルの身体に触れて、いろいろな姿勢にさせるなんてよくあることですよ」
「そ、そんな!」
「それに奥さんは、念書の中で、私の指示に従って最大限の協力をする約束をしているはず。だから最大限の協力をしていただけないと、違約ということになってしまいますよ。カメラとレンズの補償金の九十万を払ってくれますか?」
「そ、それは‥‥」
「私の指示に従うか、それとも九十万円払うか、どっちにします?私としてはどっちでもいいんですがね」
「‥‥‥‥」
美奈子の胸の内を後悔の念がよぎる。なんであんな念書を書いてしまったのだろう。これではこの男の言いなりになるしかないではないか。
安西はさらにとどめの一撃を加える。
「本家の奥様にこのことが知られていいんですか?」
美奈子を衝撃が見舞った。すっかり忘れていたが、下手をすると今度の一件が義母の敏恵の耳に入ってしまうかもしれなかったのだ。それだけは避けなければならない。
「さあ、胸をもう一度こっちへ向けてください」
「‥‥ああ」
美奈子は哀しげにうめくと、観念したように横向きにしていた身体を戻し、安西に正対する。が、決心しかねるのか、双乳を隠した両腕はそのままであった。
「ふふ、奥さん、腕を下ろしてください」
「‥‥‥‥」
「さあ!早く腕を下ろしてください!」
いつまでもぐずぐずとする美奈子に、強い調子で安西が迫った。この口調を美奈子の前で披露するのは二度目だった。一度目は客間で使っている。あのときも、いつまでも決断できない美奈子に、モデルを強要することになった。決して大きな声ではないが、人を従わせる迫力に満ちた声色だ。
ビクッと美奈子の身体が震える。そして小さく絶望の吐息をついて、柔肉の隆起から両腕を下ろした。
再び安西の前に魅惑の双乳が姿を現した。
「さて、女の人の胸はどの角度が一番綺麗に映るのかな」
安西は言い訳じみたことを言いながら、両方の手のひらを上に向け、受け皿の形にしてから双乳の底を掬い上げた。重さを量るように細かく上下させる。弾力のある白い柔肉がタプタプと震えた。
改めて美奈子の乳房の大きさを確認させられる。アンダーとトップの差が大きいので、前方に大きく突き出ており、重量感に満ちたバストだった。

再び隆起の先端の可憐な突起を二つとも両手の指で摘み上げる。美奈子の胸板が、一瞬、ピクッと反応する。
――くくく、けっこう感じやすい身体らしいな。
安西は親指から中指までの三本の指で、左右の乳首をそれぞれ挟み込み、上へ持ち上げてみる。柔肉の隆起が上方へ引っ張られ、モスクのような外観に変形させられる。
「‥‥ううっ!」
美奈子の眉が羞恥にゆがむ。
「こういうのはどうかな?‥‥それともこっちのほうがいいかな?」
そうつぶやきながら乳房を思うがままに嬲っていく。双乳の先端を前後左右、様々な方向に引っ張る。その都度、乳房はフルフルと震えながら姿形を変えてゆく。
しかもその際、安西は巧みに指の力に強弱をつけ、充血し凝固した突起を揉みほぐすように刺激を加えた。時折、蕾の先端の平面をこっそり親指の腹で擦ってみる。
「‥‥あ、‥‥い、いや」
美奈子は目を固く閉じながら天井を仰ぐ。
ブラジャー越しに触られたときとは比較にならない刺激が身体をさいなむ。
先ほどから赤みが差してきつつあった美奈子の顔は、いつの間にか真っ赤に上気している。見ず知らずの中年男に大切な乳房を弄ばれる恥辱と屈辱に加え、絶え間なく乳房から身体の奥めがけて走る、微弱な電流のような刺激のせいでもあった。
――ああ、もういや!こ、このままでは‥‥。
美奈子の胸の内にある恐れが芽生えた。今のところ、乳房の先端からもたらされるチリチリとした痛痒感に似た感覚は、あくまで上半身だけのものであり、下半身の最奥の器官にまで影響を及ぼすものではない。だが、このまま執拗に乳房が男の手でなぶりものにされれば、下半身の女の部分が呼応してしまうのは確実だった。
もしそうなったら――身体の奥底が淫靡に潤み出すだろう。そしてそれが身体の外部にまで溢れ出すことになるのだ。
しかも、危機がすぐ近くまで迫っていることを、美奈子自身よく判っていた。
――そ、それだけは、いや!こ、こんな男の前で、そんな姿を‥‥見せるわけには‥‥。
美奈子は眉間に二筋の深い溝を寄せながら、懸命に感覚の襲来に耐える。
耐えるのだ。美奈子は自分に言い聞かせた。男の本来の目的が写真の模擬撮影である以上、いつまでもこうして乳房を嬲り続けるわけではないはずだ。
しかし、美奈子の読みはいささか甘かったようだ。
安西はいつまでも乳房に執着などしていなかったのである。すでに狙いは白いショーツに覆われた下腹部の三角地帯へ移っていたのだった。
官能に染まってゆく美奈子の表情を見下ろし、乳房を思うがままに弄びつつ、冷徹な目で肉体の上に現れる変化を観察する。
静脈が透けるほどの白い肌が徐々にピンク色に染まってきた。時折、乳房を中心に弱い痙攣が、水面の波紋のように全身に波及する。
安西は満足げに目を細めた。己の指先一つで、美奈子の官能を呼び覚ましたのだ。男としてこれ以上の歓喜はなかった。
安西は双乳を責め嬲りながら、しばしば視線を落とし、白いショーツに覆われた下腹部を眺める。
美奈子が身もだえするたびに、その三角形の丘の部分が微妙にうねくる。
美奈子の股間の佇まいがフラッシュバックした。
――そろそろこっちも‥‥。
決意を固めると、柔肉の隆起から手を離した。