奪われる18
ゆうくん
2005年01月10日
3,193
撮影が再開されるまでに二十分以上かかった。美奈子の感情が落ち着くまでに、それだけの時間がかかったのだ。
美奈子は自分の秘所を丸ごと覗き込まれることになるとは予想もしていなかった。この中年カメラマンがしきりに芸術を口にするし、まさか卑猥なポーズを取らされることもないだろうと甘く考えていたのである。
オールヌードになるのは承知済みだった。ヘアくらいは相手の前に晒すことになるだろうと覚悟はしていた。しかし、いきなりショーツを脱がされ、男の目と鼻の先で股間の全てを剥き出しにされ、しかも数十秒に渡って観察を許すことになってしまうとは、夢にも予想しなかったのだった。
恥ずかしかった。悔しかった。それ以上に自分が情けなかった。
美奈子はひとしきり啜り泣いた。
ようやくショックから立ち直り、撮影の続きが可能になるまで、少なからぬ時間が必要だった。
「さ、奥さん、そろそろ続きを‥‥」
安西の促しに美奈子はのろのろと立ち上がる。
が、どことなくそれまでの美奈子とは様子が違った。
すでにストレッチパンツも足から抜き取られ、キャミソール、ブラジャー、ショーツの三点しか身に着けていない。それにもかかわらず、羞恥の表情を浮かべることもなく、また左右の手で胸の隆起やショーツを隠そうともせず、ただひたすら直立不動に近い姿勢でたたずんでいる。よく見ると、どことなく目の焦点が合っていない。
それは無論、自分の肉体の中で最も隠しておきたい羞恥の源泉を、相手の刃物のような鋭い視線の前に晒してしまったので、今の下着姿にさほど恥辱を感じないという面もあるだろうし、また、精神的ショックがあまりにも強すぎたため、ちょっとした虚脱状態に陥っている面もあるに違いない。
すでに自分の一番恥ずかしい部分は見られてしまっているのだ。しかもじっくりと“観察”されてしまった。重苦しい諦念が美奈子を支配している。
「さあ、奥さん、こっちを見てください」
姿見の横に立つ安西がカメラを構えて声をかける。美奈子が虚ろな瞳を向けると、鏡の中に己の下着姿が映っている。美奈子はそれがあたかも他人である
かのような目で眺めた。どことなく現実感を喪失してしまっているのだろう。
あたかも高熱が出たときの精神状態に似ている。
安西はそんな美奈子を眺め、全裸に剥いてしまう好機だと思った。裸になる約束はしていても、いざとなれば美奈子はきっと騒いだり抵抗したりするであろうことは容易に想像される。が、今の虚脱状態なら、案外簡単に、生まれたままの姿にしてしまえるかもしれない。
――ぎゃあぎゃあと喚かれるのは面倒だ。今のうちに少し‥‥。
キャミソールとショーツの姿を一、二枚撮ったあと、安西はカメラを置いて美奈子に近づいた。
「もう一枚脱いでもらいますよ」
白くて光沢のあるキャミソールの布地を釣っている両肩のストラップに両手をかける。
美奈子は何の抵抗もしなかった。諦めきったようにわずかにうなだれるのみである。
安西の指に引かれたストラップが、丸みを帯びた肩を滑り降りる。それと同時に支えを失ったキャミソールがスッと床めがけて落下する。次の瞬間、足下に白色の円を作った。
キャミソールに隠されていた純白のブラジャーが露出した。カップの上端にレース飾りがヒラヒラとついたやや少女趣味のブラである。ショーツもフロント部分に少し刺繍の装飾があるだけの、人妻よりも十代の少女に似つかわしいものだった。
これらの下着はかえって安西を喜ばせた。派手でセクシーなのもいいが、こういう子どもっぽい下着は、その持ち主の初々しさを強調する。人妻ではあるものの、美奈子の性体験が決して豊富なものではないことを、安西は本能的に嗅ぎ取ったのだ。
キャミソールが奪われたことで、美奈子の身体の露出が一気に増加した。
ブラジャーに覆われた二つの柔肉の隆起が高々と自己主張している。内側に大きく湾曲したウエストも、男の目と心を惹きつけずにはいなかった。楕円形の慎ましいへそがアクセントとなって悩ましさがいっそう増大する。
「綺麗だ‥‥。綺麗ですよ、奥さん。いい写真になりますよ。――もしフィルムが入っていたらね」
いかにも残念だという表情を作って安西が首を振る。
直立不動の姿勢の美奈子を何枚か撮った後、再び安西が近寄って、今度はブラジャーに無遠慮な視線を這わせる。
安西の視線が両の乳房に集中しても、美奈子の瞳は虚ろなままだった。
そんな有様を眺めているうちに、先ほどのショーツを脱がした時と同様の悪戯心がむくむくと湧き起こってきた。安西の気分がコロッと変わり、全裸に剥く前に軽くいたぶっておこうという気になる。
目の前にはブラに覆われた二つの隆起とその谷間があった。
――ふふふ、次はここかな‥‥。
「奥さん、ちょっとお願いがあるんですがねえ」
「‥‥‥‥」
いまだに雲の上を歩んでいる美奈子は、無言のまま安西を見る。
「このブラジャーですがね、弁償しますから私の好きにさせてくれませんか」
「え‥‥」
「いや、たいしたことじゃないんですが、このカップの上の方にレースがついてますよね。このヒラヒラが何となく邪魔に感じるんですよ。できれば切り取ってしまいたいんですがね」
「‥‥‥‥」
「切るといってもレースの飾りの部分だけで、ブラジャー本体はそのままにしておきます」
安西は尻のポケットから財布を取り出し、一万円札を一枚、ベッドのサイドテーブルへ置く。
「このとおり弁償しますからお願いしますよ、奥さん」
このブラジャーは特に大切なものでも、高価なものでもなかった。それどころか短大生の頃から着古したもので、そろそろ捨てようと思っていたものだ。
一万円で弁償してくれるなら特に要求を拒む理由はない。
「ね、いいでしょう?」
「‥‥はあ」
美奈子はかすかにうなずく。
安西はニヤッと笑うとカメラのハードケースにかがみ込んで内部を探り、小さな鋏を取り出した。美奈子の正面に立ち、右手に鋏を構える。
「さあ、切らせてもらいますね。‥‥レースのヒラヒラは綺麗だが一つ間違うと下品になる‥‥」
安西は、左手の親指と人差し指で右のブラのレースの端を摘み、鋏を向ける。
切ろうとしてやや躊躇する。
「うーん‥‥ちょっとカップを押さえておかないと‥‥うまく切れないかな‥‥」
わざとらしくつぶやいてから、いったん指をレースから離し、揃えた五本指をブラジャーのふくらみの頂点に押しつける。
「う‥‥」
美奈子は軽く息を止める。ブラ越しにとはいえ、乳首に男の手を押しつけられたのだ。
美奈子は自分の秘所を丸ごと覗き込まれることになるとは予想もしていなかった。この中年カメラマンがしきりに芸術を口にするし、まさか卑猥なポーズを取らされることもないだろうと甘く考えていたのである。
オールヌードになるのは承知済みだった。ヘアくらいは相手の前に晒すことになるだろうと覚悟はしていた。しかし、いきなりショーツを脱がされ、男の目と鼻の先で股間の全てを剥き出しにされ、しかも数十秒に渡って観察を許すことになってしまうとは、夢にも予想しなかったのだった。
恥ずかしかった。悔しかった。それ以上に自分が情けなかった。
美奈子はひとしきり啜り泣いた。
ようやくショックから立ち直り、撮影の続きが可能になるまで、少なからぬ時間が必要だった。
「さ、奥さん、そろそろ続きを‥‥」
安西の促しに美奈子はのろのろと立ち上がる。
が、どことなくそれまでの美奈子とは様子が違った。
すでにストレッチパンツも足から抜き取られ、キャミソール、ブラジャー、ショーツの三点しか身に着けていない。それにもかかわらず、羞恥の表情を浮かべることもなく、また左右の手で胸の隆起やショーツを隠そうともせず、ただひたすら直立不動に近い姿勢でたたずんでいる。よく見ると、どことなく目の焦点が合っていない。
それは無論、自分の肉体の中で最も隠しておきたい羞恥の源泉を、相手の刃物のような鋭い視線の前に晒してしまったので、今の下着姿にさほど恥辱を感じないという面もあるだろうし、また、精神的ショックがあまりにも強すぎたため、ちょっとした虚脱状態に陥っている面もあるに違いない。
すでに自分の一番恥ずかしい部分は見られてしまっているのだ。しかもじっくりと“観察”されてしまった。重苦しい諦念が美奈子を支配している。
「さあ、奥さん、こっちを見てください」
姿見の横に立つ安西がカメラを構えて声をかける。美奈子が虚ろな瞳を向けると、鏡の中に己の下着姿が映っている。美奈子はそれがあたかも他人である
かのような目で眺めた。どことなく現実感を喪失してしまっているのだろう。
あたかも高熱が出たときの精神状態に似ている。
安西はそんな美奈子を眺め、全裸に剥いてしまう好機だと思った。裸になる約束はしていても、いざとなれば美奈子はきっと騒いだり抵抗したりするであろうことは容易に想像される。が、今の虚脱状態なら、案外簡単に、生まれたままの姿にしてしまえるかもしれない。
――ぎゃあぎゃあと喚かれるのは面倒だ。今のうちに少し‥‥。
キャミソールとショーツの姿を一、二枚撮ったあと、安西はカメラを置いて美奈子に近づいた。
「もう一枚脱いでもらいますよ」
白くて光沢のあるキャミソールの布地を釣っている両肩のストラップに両手をかける。
美奈子は何の抵抗もしなかった。諦めきったようにわずかにうなだれるのみである。
安西の指に引かれたストラップが、丸みを帯びた肩を滑り降りる。それと同時に支えを失ったキャミソールがスッと床めがけて落下する。次の瞬間、足下に白色の円を作った。
キャミソールに隠されていた純白のブラジャーが露出した。カップの上端にレース飾りがヒラヒラとついたやや少女趣味のブラである。ショーツもフロント部分に少し刺繍の装飾があるだけの、人妻よりも十代の少女に似つかわしいものだった。
これらの下着はかえって安西を喜ばせた。派手でセクシーなのもいいが、こういう子どもっぽい下着は、その持ち主の初々しさを強調する。人妻ではあるものの、美奈子の性体験が決して豊富なものではないことを、安西は本能的に嗅ぎ取ったのだ。
キャミソールが奪われたことで、美奈子の身体の露出が一気に増加した。
ブラジャーに覆われた二つの柔肉の隆起が高々と自己主張している。内側に大きく湾曲したウエストも、男の目と心を惹きつけずにはいなかった。楕円形の慎ましいへそがアクセントとなって悩ましさがいっそう増大する。
「綺麗だ‥‥。綺麗ですよ、奥さん。いい写真になりますよ。――もしフィルムが入っていたらね」
いかにも残念だという表情を作って安西が首を振る。
直立不動の姿勢の美奈子を何枚か撮った後、再び安西が近寄って、今度はブラジャーに無遠慮な視線を這わせる。
安西の視線が両の乳房に集中しても、美奈子の瞳は虚ろなままだった。
そんな有様を眺めているうちに、先ほどのショーツを脱がした時と同様の悪戯心がむくむくと湧き起こってきた。安西の気分がコロッと変わり、全裸に剥く前に軽くいたぶっておこうという気になる。
目の前にはブラに覆われた二つの隆起とその谷間があった。
――ふふふ、次はここかな‥‥。
「奥さん、ちょっとお願いがあるんですがねえ」
「‥‥‥‥」
いまだに雲の上を歩んでいる美奈子は、無言のまま安西を見る。
「このブラジャーですがね、弁償しますから私の好きにさせてくれませんか」
「え‥‥」
「いや、たいしたことじゃないんですが、このカップの上の方にレースがついてますよね。このヒラヒラが何となく邪魔に感じるんですよ。できれば切り取ってしまいたいんですがね」
「‥‥‥‥」
「切るといってもレースの飾りの部分だけで、ブラジャー本体はそのままにしておきます」
安西は尻のポケットから財布を取り出し、一万円札を一枚、ベッドのサイドテーブルへ置く。
「このとおり弁償しますからお願いしますよ、奥さん」
このブラジャーは特に大切なものでも、高価なものでもなかった。それどころか短大生の頃から着古したもので、そろそろ捨てようと思っていたものだ。
一万円で弁償してくれるなら特に要求を拒む理由はない。
「ね、いいでしょう?」
「‥‥はあ」
美奈子はかすかにうなずく。
安西はニヤッと笑うとカメラのハードケースにかがみ込んで内部を探り、小さな鋏を取り出した。美奈子の正面に立ち、右手に鋏を構える。
「さあ、切らせてもらいますね。‥‥レースのヒラヒラは綺麗だが一つ間違うと下品になる‥‥」
安西は、左手の親指と人差し指で右のブラのレースの端を摘み、鋏を向ける。
切ろうとしてやや躊躇する。
「うーん‥‥ちょっとカップを押さえておかないと‥‥うまく切れないかな‥‥」
わざとらしくつぶやいてから、いったん指をレースから離し、揃えた五本指をブラジャーのふくらみの頂点に押しつける。
「う‥‥」
美奈子は軽く息を止める。ブラ越しにとはいえ、乳首に男の手を押しつけられたのだ。